CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection(搬送波感知多重アクセス/衝突検出))の特徴、過去問例です。
【特徴】
- 媒体共有型ネットワークで発生する伝送路上での衝突を前提とした通信制御方式
- イーサネットが採用している通信手順
- 各ノードがフレームを送信する時に、伝送路上に他ノードの通信キャリア(搬送波)が存在しているかを確認し、存在しなければデータを送信する
- 他ノードが同時にフレームを送信した場合、伝送路上で衝突(コリジョン)が発生する
- コリジョンを検出したノードはジャム信号を送信し、衝突の発生を全てのノードに知らせると共に、自身も送信を中断し、ノードごとに異なる時間(バックオフ時間)待ち合わせた後、再度送信を試みる
- コリジョンの頻度が増すと、再送によるフレームの送信が多発し、スループットが下がる
- 一般的に、伝送路の使用率が30%を超えると急激に送信遅延時間が長くなり、実用的でなくなる
【過去問】
平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験
CSMA/CD方式に関する記述のうち、適切なものはどれか。
ア 衝突発生時の再送動作によって、衝突の頻度が増すとスループットが下がる。
イ 送信要求が発生したステーションは、共通伝送路の搬送波を検出してからデータを送信するので、データ送出後の衝突は発生しない。
ウ ハブによって複数のステーションが分岐接続されている構成では、衝突の検出ができないので、この方式は使用できない。
エ フレームとしては任意長のビットが直列に送出されるので、フレーム長がオクテットの整数倍である必要はない。
【出典:ネットワークスペシャリスト試験 平成29年度 秋期 午前1 問11】
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2017h29_2/2017h29a_koudo_am1_qs.pdf
ア(正解) 衝突発生時の再送動作によって、衝突の頻度が増すとスループットが下がる。
CSMA/CD方式に関する記述です。
イ 送信要求が発生したステーションは、共通伝送路の搬送波を検出してからデータを送信するので、データ送出後の衝突は発生しない。
共通伝送路の搬送波を検出するとデータを送出しませんが、検出せずデータを送出した場合でも、タイミングによっては伝送路上で衝突(コリジョン)が発生することがあります。
ウ ハブによって複数のステーションが分岐接続されている構成では、衝突の検出ができないので、この方式は使用できない。
CSMA/CD方式は、ハブにより分岐接続されたLANでも使用できます。
衝突の検出(コリジョン)が発生するとケーブル内の電圧が上がりイーサネット内に電気信号で伝わります。これをジャム信号と言います。
ハブは受信した信号を電気的に処理しますが、宛先などを認識しないため、受信した信号をそのまま全てのポートに送信します。
したがって、ジャム信号はハブを介して全てのステーションに送信され、衝突を検出することができます。
エ フレームとしては任意長のビットが直列に送出されるので、フレーム長がオクテットの整数倍である必要はない。
イーサネットのフレームフォーマットの主要な項目は以下の通りで、オクテット(8ビット)単位になっている必要があります。
- プリアンブル:8オクテット(64ビット)
- 宛先アドレス:6オクテット(48ビット)
- 送信元アドレス:6オクテット(48ビット)
- VLANタグ:4オクテット(32ビット)
- 長さ/タイプ:2オクテット(16ビット)
- データ:46〜1500オクテット
- FCS:4オクテット(32ビット)
データ部分が任意ですが、46オクテットに満たない場合は、パディングデータを付加して46オクテットにします。
これはフレーム長(プリアンブルを除く、宛先アドレス部からFCS部まで)が64オクテット以上になるようにするためであり、これにより衝突検出を確実に行うことができます。