エッジコンピューティングの特徴、背景、過去問例です。
特徴
- 端末の近くに演算機能を配置することで、ネットワークの距離による遅延を短縮する技術
- クラウドコンピューティングがサーバを集約して処理する集中処理型であるのに対し、エッジコンピューティングでは端末側で処理する分散処理型となる。
背景
- IoTの普及に伴い、多くのデバイスがネットワークに接続され、データを収集・蓄積することで様々なソリューションに活用できる基盤が整備されつつある。
- データには映像データを含む大量の種類が存在し、そのデータ量は増加の一途である。
- 一方、それらのデータを活用するソリューションも様々であり、リアルタイム性が必要なものにとっては、データを処理する場所により、ネットワーク上の伝送遅延などが課題になってくる。
- このような場合には、クラウドコンピューティングを基本的な基盤としつつ、低遅延を必要とするデータについてはエッジコンピューティング側で一次処理を行い、加工後のデータのみクラウドコンピューティング側に送信するような最適化を図ることが必要となる。
過去問
平成29年度秋期ネットワークスペシャリスト試験
IoTの技術として注目されてる、エッジコンピューティングの説明として、適切なものはどれか。
ア 演算処理のリソースを端末の近傍に置くことによって、アプリケーション処理の低遅延化や通信トラフィックの最適化を行う。
【出典:ネットワークスペシャリスト試験 平成29年度 秋期 午前1 問28】
イ データの特徴を学習して、事象の認識や分類を行う。
ウ ネットワークを介して複数のコンピュータを結ぶことによって、全体として処理能力が高いコンピュータシステムを作る。
エ 周りの環境から微小なエネルギーを収穫して、電力に変換する。
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2017h29_2/2017h29a_koudo_am1_qs.pdf
ア (正解)演算処理のリソースを端末の近傍に置くことによって、アプリケーション処理の低遅延化や通信トラフィックの最適化を行う。
エッジコンピューティングの説明です。
イ データの特徴を学習して、事象の認識や分類を行う。
これは、人工知能(AI)の技術の一つである、機械学習またはディープラーニングの説明です。
ウ ネットワークを介して複数のコンピュータを結ぶことによって、全体として処理能力が高いコンピュータシステムを作る。
これは、グリッドコンピューティングの説明です。
エ 周りの環境から微小なエネルギーを収穫して、電力に変換する。
これは、エネルギーハーベスティング(Energy Harvesting)の説明です。
得られるエネルギーは微小ですが、この微小なエネルギーで稼働できるセンサーなどに活用して、ワイヤレスでセンサーネットワークを構築することに利用できる技術です。