特徴
- STP(Spanning Tree Protocol)は、IEEE 802.1dとして標準化されているデータリンク層のプロトコルのこと
- 物理的にループ状のネットワークでは、ブロードキャストストーム(ブロードキャストフレームがループ内を周回し続け、ネットワークを破綻させる)が発生させてしまう。これを回避するために、STPではルールートブリッジを根とした論理的なツリー構造のトポロジとして扱う。
- STPにより、ネットワークが正常な場合はループを回避しつつ、障害時には迂回経路での通信を維持させることができる。
- STPを有効化したブリッジ(L2スイッチ)間では、BPDU(Bridge Protocol Data Unit)という制御フレームをやり取りする。BPDUには、ブリッジの優先順位とMACアドレスを組み合わせたブリッジIDがあり、この値が最も小さいブリッジがルートブリッジに選出される。
- ループを検出すると、ルートブリッジから論理的な距離が最も遠いブリッジのポートを遮断することで論理的なツリー構造とする。
- 定期的なBPDUの交換でネットワークの変化を検知すると、再計算により、遮断ポートの開放や変更を行うことで最適な通信経路を維持する。
過去問
ネットワークスペシャリスト試験 令和4年度 春期 午前2 問4
ネットワークスペシャリスト試験 令和元年度 秋期 午前2
【出典:ネットワークスペシャリスト試験 令和4年度 春期 午前2 問4(一部、加工あり)】
【出典:ネットワークスペシャリスト試験 令和元年度 秋期 午前2 問4(一部、加工あり)】
スパニングツリープロトコルに関する記述のうち、適切なものはどれか。
- OSI基本参照モデルにおけるネットワーク層のプロトコルである。
→STPはデータリンク層のプロトコルです。 - ブリッジ間に複数経路がある場合、同時にフレーム転送することを可能にするプロトコルである。
→ブリッジ間に複数経路があるということは、ループ構成になっているということです。STPでは、フレームがループしないように一つの経路でフレームを転送するようにします。この記述はリンクアグリゲーションに該当します。 - ブロードキャストフレームを、ブリッジ間で転送しない利点がある。
→STPを実装してもブロードキャストフレームは転送します。ネットワーク全体としてSTPが機能して、結果的に、特定のブリッジ間でのみブロードキャストフレームを転送しなくなることはありますが、その場合はブロードキャストに限らず、BPDUフレームを除く全ての通信が転送されません。 - ルートブリッジの決定には、ブリッジの優先順位とMACアドレスが使用される。
→正解です。
情報処理安全確保支援士試験 令和2年度 秋期 午前2 問20
【出典:情報処理安全確保支援士試験 令和2年度 秋期 午前2 問20(一部、加工あり)】
複数台のレイヤ2スイッチで構成されるネットワークが複数の経路をもつ場合に、イーサネットフレームのループの発生を防ぐためのTCP/IPネットワークインタフェース層のプロトコルはどれか。
- IGMP
IGMP(Internet Group Management Protocol)は、マルチキャスト通信において、参加するホストのグループを制御するためのプロトコルです。 - RIP
→RIP(Routing Information Protocol)は、ルータやL3SWなどが経路情報を交換するためのルーティングプロトコルです。 - SIP
→SIP(Session Initiation Protocol)は、主に音声通信のセッション開始時に、ユーザ認証や通信の取り決めを交わすためのプロトコルです。 - スパニングツリープロトコル
→正解