ネットワークスペシャリスト試験 令和元年度 秋期 午後1 問1
【出典:ネットワークスペシャリスト試験 令和元年度 秋期 午後1 問1(一部、加工あり)】
[自社サービス提供状況の把握]
Z社は、自社の通信装置の稼働状況を把握するために、顧客のデータが流れるネットワークとは独立した管理ネットワークを用い、監視装置から図2中に示したL2SWz1を経由して各監視対象装置の管理IFに対して監視を行っている。監視対象装置では管理IFと他のIFとの間でルーティングすることはできない。
現行の監視方法は、次のとおりである。
(ⅰ)(d)プロトコルを利用したpingによって、各監視対象装置の管理IFのIPアドレスに対して死活監視を行う。
(ⅱ)SNMPによって、各監視対象装置からの状態変更通知である(e)を受信する。
(ⅲ)SNMPによって、各監視対象装置から5分ごとに管理情報ベースである(f)を取得する。
Cさんは、現行の監視方法では自社の通信装置の故障は把握できるが、顧客へのサービスの提供状況をリアルタイムに把握することが難しいと考えた。
そこでCさんは、顧客へのサービスの提供状況を把握するために、④現行の監視方法に、次の監視方法を追加すれば良いと考えた。
- 監視装置を、新規に設置するL2SWz2経由で各コアルータに接続し、監視装置から顧客のデータが流れるネットワークへのパケットの疎通を確保する。
- L3SWに、VRRPの仮想IPアドレスへのpingに応答する設定を行う。
- 監視装置を送信元、L3SWのVRRPの仮想IPアドレスを宛先とするpingによって監視を行う。
監視方法を追加した後の管理ネットワークの構成案を、図2に示す。
Z社は、Cさんの検討結果を基にネットワークの増強プロジェクトを立ち上げた。
d:ICMP
pingは、ICMP(Internet Control Message Protocol)のエコー要求とエコー応答のメッセージによって実現されるものです。
e:SNMPトラップ(SNMPtrap)
SNMP(Simple Network Management Protocol)において、各監視対象装置からの状態変更通知として受信するのはSNMPトラップ(SNMPtrap)です。
f:MIB
監視対象装置が持つ管理情報ベースは、MIB(Management Information Base)です。
L2SW3とL2SW4との間のLAGを構成する各回線のトラフィック量を把握するために必要な監視方法を、本文中の(ⅰ)〜(ⅲ)から選び、そのローマ数字を答えよ。:(ⅲ)
(ⅰ)のpingによる監視では装置の死活監視はできますが、回線のトラフィック量を把握することはできません。
(ⅱ)のSNMPトラップでは装置の状態変更を把握できますが、回線のトラフィック量を把握することはできません。
(ⅲ)のMIBにはIFごとのトラフィック量が記録されており、LAGを構成する各回線のトラフィック量を把握することができます。
本文中の下線④について、追加する監視方法では、自社サービスのどこからどこまでの区間の正常性を確認できるようになるか。該当する区間を、本文中の字句を用いて答えよ。:コアルータからL3SWまでの区間
問題の意図がよくわからない感じがしますが、淡々と問題文、構成図と照らし合わせて考えていきます。
「監視装置を送信元、L3SWのVRRPの仮想IPアドレスを宛先とするpingによって監視を行う」とあり、図2で監視装置からL3SWのVRRPの仮想IPアドレスまでの経路がどこを通過するかを確認します。
このとき、VRRPの仮想IPアドレスは、L3SW1とL3SW2の状態により遷移するものであるため、L3SWの両方が対象になります。
監視装置からの経路であるコアルータからL3SWまでの区間の正常性が確認できるようになります。