【ネットワークスペシャリスト試験 令和元年度 秋期 午後2 問1 No.2】
ネットワークスペシャリスト試験 令和元年度 秋期 午後2 問1
【出典:ネットワークスペシャリスト試験 令和元年度 秋期 午後2 問1(一部、加工あり)】
[クラウドサービスの利用]
D社システムの更改では、X社が提供するIaaSと、Y社が提供するクラウドPBXサービスを利用する。利用するクラウドサービスの概要を表1に、Bさんが考えた新D社システムの構成を図2に、それぞれ示す。
図2中のネットワークについてBさんが整理した内容を次に示す。
- Y-BBRは、二つのPPPoEセッションを提供する。一つはインターネット接続に、もう一つはクラウドPBXサービス利用に用いられる。
- Y-VPNは、Y社のクラウドPBXサービスを利用する顧客が共用するIP-VPNである。RFC3031で標準化されている(キ)の技術が用いられている。
- D社の異なる拠点間の通話が他の拠点を経由しないように、Y-VPNの網内は(ク)構成となっている。
- 新たに構成する、X-VNW、Y-VNW及び全社の内部LANのIPアドレスは、現行のプライベートIPアドレスとは重ならないアドレス空間を利用する。
- 全社の内部LANでは静的ルーティングを用いる。全社のAPはブリッジモードで動作させ、PCとスマホを収容する。収容端末のIPアドレス及びデフォルトゲートウェイのIPアドレスは、APのDHCP機能を使って配布する。本社の収容端末のデフォルトゲートウェイはL3SW、支店の収容端末のデフォルトゲートウェイは(ケ)である。
- 電話に関する図2中の通信経路を表2に示す。
キ:MPLS
IP-VPNを実現する技術のうち、RFC3031で標準化されているものはMPLS(Multiprotocol Label Switching)です。
MPLSでは、パケットにラベルを付与しラベルに基づいてスイッチングすることで、IP-VPN内で顧客ごとにネットワークを論理的に分割することができます。
ク:フルメッシュ
ネットワーク構成には、全ての拠点間を相互に接続する構成(=フルメッシュ構成)と、一つの拠点をハブ拠点としてその他の拠点は全てハブ拠点を経由する構成(=ハブアンドスポーク構成)があります。
「異なる拠点間の通話が他の拠点を経由しないように」するには、フルメッシュ構成が該当します。
問題文のような音声通信用のネットワークでは、遅延による品質低下を考慮する必要があり、フルメッシュ構成が推奨されます。
ケ:Y-BBR
支店の収容端末(PC、スマホ)のデフォルトゲートウェイとして考えられるのは、AP、PoE-SW、Y-GW、Y-BRRのどれかです。
APは「全社のAPはブリッジモードで動作」とあるようにレイヤ2で動作することから、デフォルトゲートウェイにはなり得ません。
PoE-SWもレイヤ2で動作しますので同様です。
Y-GWは、IP通話を公衆電話網の信号に変換する装置であり、デフォルトゲートウェイになり得ません。
したがって、Y-BPRがデフォルトゲートウェイになります。
a:支店〜Y-VPN〜本社
まず、表2の通信経路にある「シグナリング」とはSIPプロトコルの通信のことで、「通話」とはRTPプロトコルの通信のことです。
シグナリングはIP-PBXを経由する通信ですが、通話は端末同士が直接通信します。
したがって、他の通信と記載内容を合わせると、「支店〜Y-VPN〜本社」となります。
表2中の支店のIP電話機から取引先の電話機への通信経路が、項番2-1と項番2-2の2通りになる理由を、30字以内で具体的に述べよ。:Y-GWの設置の有無によって、異なる経路が使われるから。
支店のIP電話機から取引先の電話機への通信に関しては、図2での支店から公衆電話網への接続構成を見ると、注記1に「Y-GWを設置しない拠点がある」とあります。
この違いによる経路が異なることが想像でき、項番2-1、項番2-2の通信経路がY-GWの設置の有無によるものだとわかります。