【ネットワークスペシャリスト試験 令和3年度 春期 午後1 問3 No.2】
ネットワークスペシャリスト試験 令和3年度 春期 午後1 問3
【出典:ネットワークスペシャリスト試験 令和3年度 春期 午後1 問3(一部、加工あり)】
[電話サービス導入後のネットワーク構成]
次に、X主任は、電話サービスの仕様を基に、図2に示す、電話サービス導入後のネットワーク構成を設計した。
図2中のaにはVLAN10、bにはVLAN15、c、d、eにはVLAN20、fにはVLAN100、gにはVLAN150、hにはVLAN25、iにはVLAN200、jにはVLAN210というVLANがそれぞれ設定されている。
ITELは、PoEの受電機能をもつ製品を導入してITEL用の電源タップを不要にする。PCは、ITELのPC接続用のポートに接続する。①営業所のL2SW及び本社のL2SW01とL2SW02は、PoEの給電機能をもつ製品に交換する。
電話サービス導入後は、音声を全てIPパケット化し、データパケットと一緒にLAN上に流す。Y社が利用するVoIP(Voice over Internet Protocol)では、音声の符号化に G.729として標準化されたCS-ACELPが使用される。CS-ACELPのビットレートは、(a)kビット/秒であり、音声をIPパケット化してLAN上に流すと、イーサネットフレームヘッダのほかに、IP、(b)及びRTPヘッダが付加されるので、1回線当たり34.4kビット/秒の帯域が必要となる。しかし、全社員が同時に通話した場合でも、本社のLANの帯域には余裕があると考えた。
電話サービスには、本社のIPsecルータ経由で接続する。電話サービスは、Y社から送信された外線通話の音声パケットをGWで受信し、セッション管理を行う。
X主任は、図2の構成への変更作業完了後、電話サービスの運用テストを実施し、問題なく終了したので、電話サービスに切り替えた。
図1中に示した現在の回線数を維持する場合、図2中のL3SW0のポートaから出力される音声パケットの通信量の最大値を、kビット/秒で答えよ。:4,472
L3SW0のポートaはIPsecルータに接続していて、「電話サービスには、本社のIPsecルータ経由で接続する。電話サービスは、Y社から送信された外線通話の音声パケットをGWで受信し、セッション管理を行う。」とあるように、外線通話の音声パケットが通過しているポートです。
現在の回線数については、図1(Y社のネットワーク構成)の注記1「本社のPBXには80回線の外線が収容され、各営業所のPBXには、それぞれ10回線の外線が収容されている。」とのことから、全体で80+10*5(営業所数)=130回線となります。
そして、1回線当たりの帯域は、「CS-ACELPのビットレートは、(a)kビット/秒であり、音声をIPパケット化してLAN上に流すと、イーサネットフレームヘッダのほかに、IP、(b)及びRTPヘッダが付加されるので、1回線当たり34.4kビット/秒の帯域が必要となる。」から、34.4kビット/秒となります。
したがって、通信量の最大値は130*34.4=4,472kビット/秒となります。
この後の記述で「しかし、全社員が同時に通話した場合でも、本社のLANの帯域には余裕があると考えた。」とあります。
本社のLANの帯域については具体的に記述されていませんが、現在の主流である1Gビット/秒だとすると、最大でも半分以下の帯域を消費する程度なので余裕があるといえるのでしょう。
下線①のL2SWに、PoE未対応の機器を誤って接続した場合の状態について、PoEの機能に着目し、20字以内で述べよ。:L2SWからの給電は行われない。
「①営業所のL2SW及び本社のL2SW01とL2SW02は、PoEの給電機能をもつ製品に交換する」
PoE対応のL2SWの動作は、機器が接続された時に微小の電圧をかけて、その機器がPoE対応であるかどうかを確認します。
その結果、PoE未対応の機器には給電は行われません。
a:8、b:UDP
「CS-ACELPのビットレートは、(a)kビット/秒であり、音声をIPパケット化してLAN上に流すと、イーサネットフレームヘッダのほかに、IP、(b)及びRTPヘッダが付加されるので、1回線当たり34.4kビット/秒の帯域が必要となる。」
いずれも、知識問題です。
音声の符号化方式には、以下のようなものがあります。
- PCM(G.711):固定電話(アナログ)で利用され、伝送レートは64kbps
- ADPCM(G.726):PHSで利用され、伝送レートは32kbpsが主流
- CS-ACELP(G.729):携帯電話で利用され、伝送レートは8kbps
したがって、aは8kビット/秒です。
音声のIPパケット構造は、音声データ(G.729の場合、20バイト)、RTPヘッダ(12バイト)、UDPヘッダ(8バイト)、IPヘッダ(20バイト)と、ヘッダ部分だけで40バイトとなっています。
そのため、G.729の符号化レートは8kbpsですが、実際に流れるビットレートは34.4kbpsとなっています。