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【情報処理安全確保支援士試験 令和6年度 春期 午前2 問17】SBOM

【SBOMとは?】ソフトウェアの透明性が、セキュリティを強化する鍵!

情報処理安全確保支援士やネットワークスペシャリストの資格取得を目指している皆さんなら、最新のセキュリティ動向には常にアンテナを張っていることと思います。

今回は、近年特に注目を集めている「SBOM(Software Bill of Materials)」について、皆さんの学習の一助となるよう、分かりやすく解説していきます!


【出典:情報処理安全確保支援士試験 令和6年度 春期 午前2(一部、加工あり)】

 ソフトウェアの脆弱性管理のためのツールとしても利用されるSBOM(Software Bill of Materials)はどれか。

ア ソフトウェアの脆弱性に対する、ベンダーに依存しないオープンで汎用的な深刻度の評価方法
イ ソフトウェアのセキュリティアップデートを行うときに推奨される管理プロセス、組織体制などをまとめたガイドライン
ウ ソフトウェアを構成するコンポーネント、互いの依存関係などのリスト
エ 米国の非営利団体MITREによって策定された、ソフトウェアにおけるセキュリティ上の弱点の種類を識別するための基準

SBOMって、そもそも何?

SBOM(エスボム)は、「Software Bill of Materials」の略で、日本語にすると「ソフトウェア部品表」となります。

なんだか難しそうに聞こえるかもしれませんが、簡単に言うと、ソフトウェアを構成する「材料」をリスト化したもの、とイメージしてください。

私たちが普段使っている製品、例えばスマートフォンや家電製品なども、様々な部品を組み合わせて作られていますよね?それと同じように、ソフトウェアも、様々な「コンポーネント」(部品)を組み合わせて作られています。

このSBOMは、そのソフトウェアがどんなオープンソースソフトウェア(OSS)や商用コンポーネント、ライブラリなどから構成されているか、そしてそれらのコンポーネントが互いにどのように関連しているか、といった情報を網羅的に記載した「成分表示」のようなものなんです。

なぜ今、SBOMが注目されているの? その背景・経緯

SBOMが注目されるようになった背景には、近年のサイバーセキュリティを取り巻く状況が大きく関係しています。

1. オープンソースソフトウェアの利用拡大

現代のソフトウェア開発では、OSS(オープンソースソフトウェア)が広く利用されています。OSSは開発効率を高め、コストを削減するメリットがある一方で、その脆弱性が発見された場合、利用している多くのソフトウェアに影響が及ぶ可能性があります。

2. サプライチェーン攻撃の深刻化

近年、「サプライチェーン攻撃」と呼ばれるサイバー攻撃が深刻化しています。これは、製品やサービスを提供するサプライチェーン(供給網)のどこかにある脆弱性を悪用して、ターゲット企業に侵入する手口です。ソフトウェアの場合、開発段階で利用したコンポーネントに脆弱性があった場合、それが最終製品に引き継がれ、利用者にまで被害が及ぶ可能性があります。

例えば、2021年に発覚した「Log4Shell」の脆弱性は記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。これは、広く利用されているOSSであるApache Log4jに深刻な脆弱性が見つかり、世界中の多くのシステムに影響を与えました。

このような大規模な脆弱性が発覚した際、「自分たちのシステムにLog4jが使われているか?」、そして「使われているなら、どのバージョンか?」といった情報を迅速に把握することが極めて重要になります。しかし、SBOMがなければ、これらの情報を手動で確認するのは非常に困難で、対応に遅れが生じるリスクがありました。

こうした背景から、ソフトウェアの透明性を高め、潜在的なリスクを早期に発見・対処するために、SBOMの重要性が認識されるようになったのです。

SBOMの事例:もしあの時SBOMがあれば…

先ほどのLog4Shellの例は、SBOMの必要性をまさに物語っています。もし、各ソフトウェアベンダーが自社の製品のSBOMを公開していれば、Log4jの脆弱性が発表された瞬間に、利用者は自分のシステムが影響を受けるかどうかを簡単に確認し、迅速な対応を取ることができました。

また、ある企業が新たにソフトウェアを導入する際、そのソフトウェアのSBOMを確認することで、どのようなコンポーネントが含まれているか、既知の脆弱性を持つコンポーネントが含まれていないか、といったことを導入前にチェックできるようになります。これにより、将来的なセキュリティリスクを未然に防ぐことが可能になります。

SBOMの課題と対策

SBOMの導入・普及には、いくつかの課題も存在します。

課題

対策

SBOMの今後の動向

SBOMは、今後ますますその重要性を増していくと考えられます。

SBOMは、ソフトウェアの「透明性」を高め、サプライチェーン全体でのセキュリティレベル向上に貢献する強力なツールです。情報処理安全確保支援士やネットワークスペシャリストを目指す皆さんにとって、SBOMに関する知識は、今後のキャリアにおいて非常に重要なものとなるはずです。

ぜひ、この機会にSBOMについて深く理解し、今後の学習に役立ててくださいね!


問題解説

それでは、冒頭で提示した問題について解説していきましょう。

問題: ソフトウェアの脆弱性管理のためのツールとしても利用されるSBOM(Software Bill of Materials)はどれか。

ア ソフトウェアの脆弱性に対する、ベンダーに依存しないオープンで汎用的な深刻度の評価方法
イ ソフトウェアのセキュリティアップデートを行うときに推奨される管理プロセス、組織体制などをまとめたガイドライン
ウ ソフトウェアを構成するコンポーネント、互いの依存関係などのリスト
エ 米国の非営利団体MITREによって策定された、ソフトウェアにおけるセキュリティ上の弱点の種類を識別するための基準

解説:

それぞれの選択肢を見ていきましょう。

したがって、正解は です。


今回の記事が、皆さんの学習の一助となれば幸いです。 これからも情報処理安全確保支援士やネットワークスペシャリストを目指す皆さんにとって役立つ情報を発信していきますので、どうぞお楽しみに!

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