マルチキャスト
特徴
- マルチキャストは、特定のグループに所属する全てのホストに同時送信を行うもので、1対多の放送型のデータ配信を効率的に行うことが可能である。
- 具体的には、送信側はマルチキャストアドレス宛にデータを送信するだけで、経路上のネットワーク機器がグループに所属する(→データ受信を希望する)ホストがいる経路にデータを複製して送信する。
- マルチキャストグループへの参加や離脱の管理にはIGMP(Internet Group Management Protocol)が使用される。
- IPv4のマルチキャストアドレスには、クラスDのアドレス(224.0.0.0〜239.255.255.255(2進表記の先頭が「1110」で始まる))が使用される。
- 「224.0.0.1」や「224.0.0.2」などの一部のアドレスはWell-Knownアドレスとして用途が決められている。
- マルチキャスト通信を行うプロトコルには、UDP(User Datagram Protocol)を用いるRIPv2(Routing Information Protocol v2)やNTP(Network Time Protocol)の他、UDPを用いずにIPに直接カプセル化されるOSPF(Open Shortest Path First)やVRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)などがある。
- TCP(Transmission Control Protocol)は、1対1のユニキャスト通信しか行えず、マルチキャスト通信には用いることはできない。
過去問
平成30年度秋期 情報処理安全確保支援士試験
【出典:情報処理安全確保支援士試験 平成30年度 秋期 午前2 問19】
クラスDのIPアドレス(224.0.0.0〜239.255.255.255)に関する記述として、適切なものはどれか。
- DHCPサーバが見つからないときの自動設定アドレスに使用される。
→APIPA(Automatic Private IP Addressing)機能によって自動設定されるプライベートIPアドレス(169.254.1.0〜169.254.254.255)のことです。 - IETFでの実験用アドレスとして予約されており、一般には使用されない。
→クラスE(240.0.0.0〜255.255.255.255)のことです。 - UDPなどを用いるマルチキャスト通信で使用される。
→正解 - 小規模なネットワークでプライベートアドレスとして使用される。
→クラスC(192.168.0.0〜192.168.255.255)のことです。
平成30年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験
【出典:ネットワークスペシャリスト試験 平成30年度 秋期 午前2 問11】
IPv4のマルチキャストに関する記述のうち、適切なものはどれか。
- 全てのマルチキャストアドレスは、アドレスごとにあらかじめ用途が固定的に決められている。
→一部のマルチキャストアドレス以外は、一定の範囲内から自由に設定できます。 - マルチキャストアドレスには、クラスDのアドレスが使用される。
→正解 - マルチキャストパケットは、TTL値に関係なくIPマルチキャスト対応ルータによって中継される。
→ユニキャストと同様に、TTL(Time To Live)の数値によって到達範囲が制限されます。 - マルチキャストパケットは、ネットワーク上の全てのホストによって受信され、IPよりも上位の層で、必要なデータか否かが判断される。
→マルチキャストパケットは、マルチキャストグループに参加するホスト〜L2SW〜L3SW(ルータ)間でのIGMPのやり取りにより転送先が共有され、特定のホストにのみ受信されます。