SMTP
特徴
- SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)は、クライアントからメールサーバ、メールサーバ間でのメールを転送するプロトコル
- メールクライアントからの電子メールではTCPポートの25番と587番、メールサーバ間ではTCPポートの25番を使う。当初は25番のみであり、クライアントとサーバで同じポート番号であることはセキュリティ対策として課題が多かった。したがって、サブミッションポートと呼ばれる587番を規定し、クライアントでは587番を使うのが一般的である。
- TCPセッションを確立したのち、SMTPの各種コマンドで通信を行う。通信開始を宣言する「EHLO」「HELO」、メール送信開始の「MAIL」、メールの宛先を伝える「RCPT」、メールメッセージ送信の「DATA」、接続終了の「QUIT」などがある。
- SMTPを拡張し、メールサーバ間の転送を効率化したプロトコルとしてESMTP(Extended SMTP)がある。
過去問
ネットワークスペシャリスト試験 令和元年度 秋期 午前2
【出典:ネットワークスペシャリスト試験 令和元年度 秋期 午前2 問9(一部、加工あり)】
SMTP(ESMTPを含む)のセッション開始を表すコマンドはどれか。
- DATA
→DATAは、メールメッセージ送信を通知するものです。 - EHLO
→正解です。 - MAIL
→MAILは、メールトランザクションの開始をSMTPサーバに通知するものです。エラー時の返信先アドレス(エンベロープFrom)をパラメタにします。 - RCPT
→RCPTは、宛先のメールアドレス(エンベロープTo)をSMTPサーバに通知するものです。宛先が複数の場合は複数回送信します。
ネットワークスペシャリスト試験 平成29年度 秋期 午前2
SMTPに関する記述のうち、適切なものはどれか。
【出典:ネットワークスペシャリスト試験 平成29年度 秋期 午前2 問9】
ア SMTPサーバは、SMTPクライアントのHELOコマンドに対して利用できる拡張機能の一覧を応答する。
イ 宛先のメールアドレスが複数ある場合は、SMTPの一つのRCPTコマンドにまとめて指定する。
ウ 差出人のメールアドレスは、SMTPのDATAコマンドに指定する。
エ 迷惑メールの防止のために、メールクライアントからの電子メール送信とメールサーバ間での電子メール転送とで、異なるポート番号を利用できる。
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2017h29_2/2017h29a_nw_am2_qs.pdf
ア SMTPサーバは、SMTPクライアントのHELOコマンドに対して利用できる拡張機能の一覧を応答する。
SMTPサーバがSMTPに拡張機能の一覧を応答するのはEHLOコマンドに対してです。SMTPクライアントがSMTPサーバにセッションの開始を要求するには、EHLOコマンドかHELOコマンドを使用します。通常はEHLOコマンドを使用しますが、EHLOコマンドをサポートしない古い機種の場合にHELOコマンドを使用します。
イ 宛先のメールアドレスが複数ある場合は、SMTPの一つのRCPTコマンドにまとめて指定する。
RCPTコマンドはメールの宛先を伝えるもので、パラメータに1つのメールアドレスを指定します。複数の宛先の場合にはRCPTコマンドを複数回使用します。
ウ 差出人のメールアドレスは、SMTPのDATAコマンドに指定する。
差出人のメールアドレスはMAILコマンドに指定します。DATAコマンドはメールメッセージを送信するコマンドです。
エ 迷惑メールの防止のために、メールクライアントからの電子メール送信とメールサーバ間での電子メール転送とで、異なるポート番号を利用できる。
正解です。メールクライアントからの電子メールではTCPポートの25番と587番が使えます。一方、メールサーバ間ではTCPポートの25番のみ使います。25/TCPは送信と転送で利用できますが、587/TCPはサブミッションポートと呼ばれ、送信でのみ利用できるものです。587/TCPの利用シーンとしては、ISPが迷惑メール防止のためOP25B(Outbound Port 25 Blocking)を実施している場合に、サブミッションポートを使うことで、OP25Bの影響を受けずに外部のメールサーバを使用したメール送信が可能となります。