ネットワークスペシャリスト試験 令和3年度 春期 午後1 問1
【出典：ネットワークスペシャリスト試験 令和3年度 春期 午後1 問1（一部、加工あり）】
問1 ネットワーク運用管理の自動化に関する次の記述を読んで、設問1〜3に答えよ。
A社は、中堅の中古自動車販売会社であり、東京に本社のほか10店舗を構えている。
[現状の在庫管理システム]
A社では、在庫管理システムを導入している。本社及び店舗では、社内の全ての在庫情報を把握できる。在庫管理システムは、本社の在庫管理サーバ、DHCPサーバ、DNSサーバ、本社及び店舗に2台ずつある在庫管理端末、並びにこれらを接続するレイヤ2スイッチ（以下、L2SWという）から構成される。在庫管理端末はDHCPクライアントである。
本社と店舗との間は、広域イーサネットサービス網（以下、広域イーサ網という）を用いてレイヤ2接続を行っている。L2SWにVLANは設定していない。
本社の在庫管理サーバでは、在庫情報の管理と、在庫管理システム全ての機器のSNMPによる監視を行っている。在庫管理システムで利用するIPアドレスは192.168.1.0/24であり、各機器にはIPアドレスが一つ割り当てられている。
店舗が追加される際には、その都度、情報システム部の社員が現地に出向き、L2SWと在庫管理端末を設置している。店舗のL2SWは、在庫管理サーバからSSHによるリモートログインが可能である。
現状の在庫管理システムの構成を、図1に示す。
A社は、販売エリアの拡大に着手することにした。またこの機会に、新たに顧客サービスとして全ての店舗でフリーWi-Fiを提供することにした。情報システム部のBさんは上司から、ネットワーク更改について検討するよう指示された。
Bさんが指示を受けたネットワーク更改の要件を次に示す。
- WAN回線は、広域イーサ網からインターネットに変更する。
- 全ての店舗にフリーWi-Fiのアクセスポイント（以下、Wi-Fi APという）を導入する。
- 既存の在庫管理システムの機器は継続利用する。
- フリーWi-Fiやインターネットを経由して社外から在庫管理システムに接続させない。
- 店舗における機器の新設・故障交換作業は、店舗の店員が行えるようにする。
- SNMPによる管理及びSSHによるリモートログインの機能は、在庫管理サーバから分離し、新たに設置する運用管理サーバに担わせる。
名前解決に用いるサーバのIPアドレスを、在庫管理端末に通知するサーバは何か。図1中の機器名で答えよ。：DHCPサーバ
この設問に登場する機器名について少し混乱しそうなので、落ち着いて考えましょう。
まず「名前解決に用いるサーバ」とはDNSサーバのことで、図1（現状の在庫管理システムの構成（抜粋））の本社にあるものです。
このDNSサーバのIPアドレスを在庫管理端末に通知するサーバが何かを問われています。
在庫管理端末は本社と店舗にあって、「在庫管理端末はDHCPクライアントである。」とあります。
DHCPクライアントに（DHCPクライアントの）IPアドレスを配布するのはDHCPサーバですが、DHCPサーバではその他にDNSサーバのIPアドレスなどの情報も配布されています。
図1の構成において、在庫管理システムのセグメントのIPアドレス数に着目すると、店舗の最大数は計算上幾つになるか。整数で答えよ。：82
在庫管理システムのIPアドレスについては、「在庫管理システムで利用するIPアドレスは192.168.1.0/24であり、各機器にはIPアドレスが一つ割り当てられている。」とあることから、「192.168.1.1〜192.168.1.254」の254個の機器が接続できます。
図1の構成から本社では6台の機器があり、最大248個（254-6=248）のIPアドレスが店舗で利用できます。
店舗は3台の機器で構成されるため、「248÷3=82.6‥」で最大の店舗数は82となります。
本社のL2SWのMACアドレステーブルに何も学習されていない場合、在庫管理サーバの監視のために送信したユニキャストのICMP Echo requestは、本社のL2SWでどのように転送されるか。30字以内で述べよ。このとき、監視対象機器に対するIPアドレスをMACアドレスの対応は在庫管理サーバのARPテーブルに保持されているものとする。：L2SWの入力ポート以外の全てのポートに転送される。
MACアドレステーブルはMACアドレスがどのポートに接続されているかを管理するものですが、通信が行われる毎に学習して、関係ないポートからの不要な通信が発生しないようにできます。
MACアドレステーブルに何も学習されていいない場合には、当然ですが全てのポートに転送されますが、入力ポートには転送されません。
設問ではいろいろ書いていますが、どのように転送されるかに絞ってシンプルに記載すればいいでしょう。
ちなみに、ARPテーブルはIPアドレスとMACアドレスの対応に関するもので、MACアドレステーブルと併せてスイッチでの通信に重要な機能になります。