【ネットワークスペシャリスト試験 令和3年度 春期 午後2 問1 No.4】

ネットワークスペシャリスト試験 令和3年度 春期 午後2 問1

【出典:ネットワークスペシャリスト試験 令和3年度 春期 午後2 問1(一部、加工あり)】

[スイッチのスタック機能を用いる方式]
 次に、J主任は、ベンダから紹介された、新たな機器が実装するスタック機能を用いる方式を検討した。新たな機器を用いた社内システム(以下、新社内システムという)の内部NWに関して、J主任が検討した内容は次のとおりである。

  • 新L3SW1と新L3SW2をスタック用ケーブルで接続し、1台の論理スイッチ(以下、スタックL3SWという)として動作させる。
  • スタックL3SWと新L2SW3〜新L2SW20の間を、リンクアグリゲーションを用いて接続する。
  • 新ディレクトリサーバ及び新内部DNSサーバに実装される二つのNICに、アクティブ/アクティブのチーミングを設定し、スタックL3SWに接続する。

 検討の内容を基に、J主任は、スタック機能を用いることで、障害発生時の復旧を早く行えるだけでなく、④スイッチの情報収集や構成管理などの維持管理に係る運用負荷の軽減や、⑤回線帯域の有効利用を期待できると考えた。

下線④について、運用負荷を軽減できる理由を、30字以内で述べよ。:2台のL3SWを1台のスイッチとして管理できるから

検討の内容を基に、J主任は、スタック機能を用いることで、障害発生時の復旧を早く行えるだけでなく、④スイッチの情報収集や構成管理などの維持管理に係る運用負荷の軽減や、⑤回線帯域の有効利用を期待できると考えた。
 問題文でのここまでの内容を振り返ると、内部NWでは現状はSTPが稼働していて、L3SW1、L3SW2では更にVRRPが実装していましたが、ネットワークに障害が発生したときの復旧を早くするための対策として、RSTPと上記のスタック機能を用いる方式が検討されているということでした。
 「スイッチの情報収集や構成管理などの維持管理に係る運用負荷」に関する問題文の記述は特に見当たらないので、スタック機能について自身で考える必要がありそうです。
 スタック機能は「1台の論理スイッチ」として動作するということなので、IPアドレスやconfigなどが1台のスイッチとして管理できるということです。
 それまでは、L3SW1、L3SW2という2台がそれぞれIPアドレスやconfigを持っていて、維持管理上も2台として管理することになりますが、それらを1台のL3SWとして管理できるということになります。
 このことが具体的にどこまで運用負荷の軽減に繋がるかは難しいところですが、設問で問われていることに素直に答える意識を持つことが必要です。

下線⑤について、内部NWで、スタックL3SW〜新L2SW以外に回線帯域を有効利用できるようになる区間が二つある。二つの区間のうち一つの区間を、図3中の字句を用いて答えよ。:スタックL3SW〜新ディレクトリサーバ/スタックL3SW〜新内部DNSサーバ

 回線帯域の有効利用について、スタックL3SW〜新L2SW3では「リンクアグリゲーションを用いて接続する」とあるように、L2SWから2台のL3SWにそれぞれ接続した回線を束ねた回線帯域として利用できます。
 内部NWにはその他にディレクトリサーバと内部DNSサーバがあり、当然これらのサーバとスタックL3SW間も対象の区間となると想定できます。
 この部分について、「新ディレクトリサーバ及び新内部DNSサーバに実装される二つのNICに、アクティブ/アクティブのチーミングを設定し、スタックL3SWに接続する」とあります。
 チーミングとはサーバなどの物理NICを一つのインタフェースとして扱う機能のことで、いくつかの動作モードがありますが、その一つにリンクアグリゲーションによる回線帯域を向上することができます。
 したがって、スタックL3SW〜新ディレクトリサーバ、スタックL3SW〜新内部DNSサーバも回線帯域が有効利用できる区間となります。