【ネットワークスペシャリスト試験 令和6年度 春期 午前Ⅱ 問23】
ネットワークスペシャリスト試験 令和6年度 春期 午前Ⅱ 問23
【出典:ネットワークスペシャリスト試験 令和6年度 春期 午前Ⅱ(一部、加工あり)】
ジョブの多重度が1で、到着順にジョブが実行されるシステムにおいて、表に示すジョブA〜Cを処理するとき、ジョブCが到着してから実行が終了するまでのターンアラウンドタイムは何秒か。ここで、OSのオーバーヘッドは考慮しない。
ア 11
イ 12
ウ 13
エ 14
ジョブスケジューリングと多重度
ジョブスケジューリングは、複数のジョブ(業務処理やバッチ処理など)を、決められたタイミングや条件で自動的に実行・管理する仕組みです。
このとき、システムのリソースを効率的に使い、安定した運用を実現するために重要な概念が「多重度」です。
多重度とは
- 多重度(multiplicity)は、コンピュータやシステム上で「同時に実行できるジョブやプログラムの数」を指します。
- 例えば、あるノード(サーバ)で「多重度3」と設定すれば、そのノード上で最大3つまでジョブを同時に実行でき、それを超えるジョブは待機状態になります。
ジョブスケジューリングにおける多重度の役割
- 多重度を設定することで、一度に大量のジョブが実行されてシステム負荷が急増するのを防ぎます。
- 各ジョブやキュー、ノードごとに多重度を設定し、リソースの過負荷や業務の遅延を抑制します。
- 多重度の値は運用状況に応じて動的に変更することも可能です。
ジョブ多重度の具体例
- 例1:ノードAの多重度を「2」に設定
ノードAで2つのジョブが同時に実行されている場合、3つ目のジョブは他のジョブが終わるまで「待機」状態になる。 - 例2:キューの多重度を「5」に設定
1つのキューで一度に5つまでジョブが実行され、それ以上は順番待ちになる。
多重度と関連する運用
- 多重起動:同じジョブネットを、前の実行分が終わっていなくても重複して起動できる設定。多重起動可の場合、スケジュールが重なっても同時に複数実行される。
- 同時実行制御:特定のグループやキュー単位で同時実行数を制御する仕組み。多重度と似ているが、制御単位や適用範囲が異なる。
まとめ
ジョブスケジューリングにおける多重度は、「同時に実行できるジョブ数」を制御することで、システムの安定稼働やリソースの有効活用を実現するための重要な設定です。
多重度を適切に設定することで、業務の効率化と障害防止につながります。
ア 11
- ジョブの多重度が1 → 1つのジョブしか同時に実行されない(順次実行)
- 到着順にジョブが実行される → 到着順で先に到着したジョブから実行される(FCFS:First Come, First Served)
- ターンアラウンドタイム=「ジョブの終了時刻 − ジョブの到着時刻」
- FCFS(到着順)なので、到着時刻が早い順に処理
- ジョブA:到着:0秒、実行開始:0秒、実行終了:0秒 + 5秒 = 5秒
- ジョブB:到着:2秒、実行開始:5秒(Aの終了後)、実行終了:5秒 + 6秒 = 11秒
- ジョブC:到着:3秒、実行開始:11秒(Bの終了後)、実行終了:11秒 + 3秒 = 14秒
- ジョブCのターンアラウンドタイム = 終了時刻 − 到着時刻=14秒 − 3秒 = 11秒
- FCFS方式では、到着時刻が遅いジョブでも待ち時間が長くなることがある(ジョブCは短い処理時間にも関わらず、長時間待たされた)。
より効率を重視するなら、「SJF(Shortest Job First)」や「優先度スケジューリング」など他の方式もある。 - このような問題は、OSのスケジューリング方針の違いによる性能の差を理解するためにも重要です。実務でもプロセス制御やリソース最適化を考える際に活きてきます。