【ネットワークスペシャリスト試験 令和6年度 春期 午前Ⅱ 問22】
ネットワークスペシャリスト試験 令和6年度 春期 午前Ⅱ 問22
【出典:ネットワークスペシャリスト試験 令和6年度 春期 午前Ⅱ(一部、加工あり)】
PCI Express 3.0、PCI Express 4.0 及び PCI Express 5.0 を比較した記述のうち、適切なものはどれか。
ア 1レーンの片方向最大転送レートは、PCI Express 4.0 はPCI Express 3.0 の2倍、PCI Express 5.0 はPCI Express 4.0 の2倍である。
イ PCI Express 3.0 はそれ以前のPCI Express 1.1及び PCI Express 2.0 と後方互換性があるが、PCI Express 4.0 はそれ以前のものと後方互換性がない。
ウ いずれも、規格上の最大レーン数は32レーンである。
エ いずれも、シリアル転送において8b/10b変換を採用している。
PCI Express(PCIe、PCI-E)は「Peripheral Component Interconnect Express」の略称で、日本語では「周辺機器相互接続エクスプレス」と訳されます。
これはコンピュータのマザーボード上で、拡張カードや周辺機器を高速に接続するためのシリアルインターフェース規格です。
PCI Expressは、グラフィックボード(GPU)、NVMe SSD、ネットワークカード、サウンドカードなど多様な拡張デバイスを接続するために利用されており、従来のPCIバスよりもはるかに高速なデータ転送を実現します。
また、PCIe規格には「レーン」と呼ばれるデータ転送路があり、x1、x4、x8、x16といった種類があり、レーン数が多いほど大容量・高速なデータ転送が可能です。
主な特徴は以下の通りです。
- 高速なシリアル転送方式:point-to-point接続で双方向通信が可能
- 柔軟なレーン構成:x1、x4、x8、x16など、用途に応じてレーン数を選択
- 幅広い用途:GPU、SSD、拡張カードなど多様なデバイスに対応
- 進化する規格:Gen1からGen6まで世代が進み、転送速度が大幅に向上
- 世代ごとの転送速度向上
- PCIeは「Generation(Gen)」と呼ばれる世代ごとに仕様が更新され、各世代ごとに転送速度が約2倍に向上しています。
- 例えば、Gen1(1.0/1.1)では1レーンあたり片方向250MB/s、Gen2(2.0)で500MB/s、Gen3(3.0)で約1GB/s、Gen4(4.0)で約2GB/s、Gen5(5.0)で約4GB/s、Gen6(6.0)で約8GB/s(×1レーンあたり)となっています。
- 用途の拡大
- PCIeはグラフィックカードだけでなく、NVMe SSD、ネットワークカード、サウンドカードなど多様な高速デバイスに対応できるよう進化してきました。
- サーバーやデータセンター、産業用機器などでも標準的な拡張バスとして利用されています。
- 柔軟なレーン構成
- レーン(データ転送路)数をx1、x4、x8、x16など用途に応じて選択できることで、多様な拡張性を実現しています。
ア 1レーンの片方向最大転送レートは、PCI Express 4.0 はPCI Express 3.0 の2倍、PCI Express 5.0 はPCI Express 4.0 の2倍である。
正解です。
PCIe 各世代の転送レート(片方向・1レーン)を比較すると以下のとおりです。
規格 | 転送速度(Gbps) | 実効速度(GB/s) |
---|---|---|
PCIe 3.0 | 8.0 Gbps | 約1.0 GB/s |
PCIe 4.0 | 16.0 Gbps | 約2.0 GB/s |
PCIe 5.0 | 32.0 Gbps | 約4.0 GB/s |
各バージョンごとに約2倍ずつ高速化されています。
イ PCI Express 3.0 はそれ以前のPCI Express 1.1及び PCI Express 2.0 と後方互換性があるが、PCI Express 4.0 はそれ以前のものと後方互換性がない。
誤りです。
PCI Express の仕様は一貫して後方互換性と前方互換性があります。
ウ いずれも、規格上の最大レーン数は32レーンである。
誤りです。
PCI Express のレーン数(x1, x4, x8, x16など)は物理的構成に依存しており、x32(32レーン)は規格として定められていません(一部の組込み向けに存在する例はあるが、標準ではない)。
- 標準的な最大構成は x16。
- 規格自体は柔軟ですが、一般的にはx16が上限として用いられています。
エ いずれも、シリアル転送において8b/10b変換を採用している。
誤りです。
- PCIe 1.0 と 2.0 → 8b/10b 変換(10ビット中8ビットがデータ)
- PCIe 3.0 以降 → 128b/130b 変換という効率のよいエンコーディング方式を採用
これにより、オーバーヘッドが大幅に減少し、転送効率が向上しました。
試験対策ポイント
- PCI Expressの世代による転送速度の違いは、情報通信の帯域やI/O性能に直結するため、転送レートの倍増ペース(2倍ずつ)を覚えておくと得点しやすいです。
- 互換性・エンコーディング方式の違いは、通信の信頼性やオーバーヘッドに関する理解を問う問題でよく出題されます。