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【ネットワークスペシャリスト試験 令和6年度 春期 午後1 問2 No.3】

ネットワークスペシャリスト試験 令和6年度 春期 午後1 問2

【出典:ネットワークスペシャリスト試験 令和6年度 春期 午後1 問2(一部、加工あり)】

[SD-WAN導入検討]
 Jさんは、SD-WANを取り扱っているネットワーク機器ベンダーK社の技術者に相談しながら検討することにした。また、K社がインターネット経由でクラウドサービスとして提供しているSD-WANコントローラーの活用を検討することにした。
 K社のSD-WAN装置とSD-WANコントローラーの主な機能を次に示す。


 Jさんは、K社のSD-WANをG社ネットワークへ導入する方法を検討し、実施する項目として次のとおりポイントをまとめた。

 Jさんが検討した、G社のSD-WAN装置導入後のネットワーク構成を図2に示す。

カ:ポリシーベース

このように、アプリケーショントラフィックを識別したルーティングを()ルーティングという。
 経路制御(ルーティング)は、基本的にはルータのルーティングテーブルに従ってパケットを転送しますが、管理者が意図して経路制御したい場合に用いるのがポリシーベースルーティングです。
 ポリシーベースルーティングでは、「送信元アドレス、プロトコル、ポート番号、パケットサイズ、入力I/F」などの情報に基づきルーティングを行うことができます。
 設問のようにアプリケーショントラフィックはポート番号で識別しますが、もっと細かく対象パケットを指定して経路制御することが可能です。

下線⑤について、SD-WANコントローラーから送られる情報を二つ挙げ、それぞれ25字以内で答えよ。:IPsecトンネル確立のためのIPアドレス/IPsecトンネル確立のための鍵情報

SD-WANコントローラーがSD-WAN装置に配布する主な情報は、SD-WAN装置ごとのオーバーレイの経路情報と、⑤IPsecトンネルを構築するために必要な情報の2種類がある。
 SD-WANやオーバーレイとありますが、本設問ではIPsecに関する内容が問われているようで、IPsecで必要となる情報を解答します。
 一つは問題文に「オーバーレイネットワークは、SD-WAN装置間のIPsecトンネルで構築される。IPsecトンネルの確立ではSD-WAN装置のIPアドレスが用いられる。IPsecトンネルの端点をTE(Tunnel Endpoint)と呼ぶ。」とあるように、IPsecトンネル確立のIPアドレスです。
 もう一つは、IPsecが暗号化通信を実現するためのプロトコルであることから、TE間で共有する暗号鍵が思い浮かぶといいでしょう。

下線⑥について、トンネルインタフェースにBFDを設定する目的を、”IPsecトンネル”という用語を用いて35字以内で答えよ。:IPsecトンネルに障害があった場合の検出を高速にする。

⑥拠点のSD-WAN装置間のトンネルインタフェースで、BFDを有効化する
 BFDは、問題文に「SD-WAN装置は、RFC 5880で規定されたBFD(Bidirectional Forwarding Detection)機能を有する。」とあり、直訳すると双方向フォワーディング検出です。
 ルータ間のパスの状態を確認し、高速に障害検知してルーティングプロトコルに通知します。
 BFDは、ルータ間にL2スイッチなどが存在し、リンクステータスが伝わらない障害が発生した場合に効果的な機能です。
 IPsecではTE間で定期的にキープアライブをやり取りして状態を把握しますが、この間隔は10秒〜数十秒となります。
 これに対しBFDでは、1秒以下でやり取りするため障害検出を高速にすることが可能となります。
 IPAの採点講評には「正答率が低かった。BFDのような障害検知のための技術はネットワークを安定的に稼働させるために役に立つ技術である。障害検知の手法や関連知識を広く身に付けておくことは重要である。」とありました。


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